冬キャンプでコットに横になったとき、寝袋の中はちゃんと暖かいのに、背中だけがひんやりすることがあります。
しっかりと地面から離れているはずなのに、背中だけは冷える。
アルバートンといえば、アーミーダックに代表されるキャンバス生地を思い浮かべる方も多いかもしれません。
ただ、今回取り上げるのはキャンバスではなく、発熱ボア素材を使ったコットカバーです。
気温のせいもありますが、実際にはコットの構造が関係していることもあります。離れていることと、熱を逃がさないことは、同じではありません。
アルバートンのコットカバーは、赤外線吸収や発熱ボアといった素材で知られています。
ただ、素材名だけを見ても、この道具の役割は見えてきません。
どこに触れ、どこで熱を受け止めているのか。そこが大切です。
この記事では、
- コットの底冷えは、どのような構造で起きているのか
- 赤外線吸収、発熱ボア、難燃は、それぞれどこで作用しているのか
- アルバートンのコットカバーを、どういう道具として考えるべきか
といった点を整理しながら、解説していきます。
なぜ底冷えが起きるのか──コットの構造をほどく
まずは、底冷えそのものの正体から整理します。
アルバートンのコットカバーがどこに効くのかを考える前に、コットという道具の構造を見ておく必要があります。
冷えの原因は寒さより熱の抜け方にある

底冷えというと、どうしても「気温が低いから」と考えがちです。
もちろん寒さは関係しますが、それだけでは説明がつかない場面もあります。
コットは地面から体を離してくれます。
湿気や地面の凹凸を避けられる点では、とても合理的な道具です。
ただ、その構造では間に空気を挟む事になります。
生地の下に空間があり、そこを空気が通る。
この状態では、体の熱はじわじわと抜けていきます。
触れている面から熱が移り、空気が動けばさらに奪われる。
体感としては、それだけの話です。
風が通る冬のキャンプ場や、車内に冷気が残る夜は、その差が分かりやすくなります。
包まれているはずなのに、背中だけが冷える。あの感じです。
ここで起きているのは、「熱が抜け続けている状態」なのです。
77×190cm系コットで起きやすい接触面の不安定さ

一般的なコットは、幅およそ77cm、長さ190cm前後のサイズが主流です。
一見すると十分な広さに見えますが、寝袋やマットとの組み合わせによって体感は変わります。
幅がわずかに足りない。肩や腰の位置だけ張りが強い。
そういった小さな差が、背中側の接触面を不安定にしてしまうのです。
ピンッと張られたコットの生地は、体をしっかり支えてくれます。
ただ、その張りの強さゆえに、肩や腰といった出っ張った部分に体重が集中しやすくなります。
接触している面が強く押しつけられると、その部分の生地は薄い一枚だけです。
そのすぐ下には空気の層があり、そこへ体の熱が伝わっていきます。
だからといって、単純に厚みを足せば解決する、という話でもありません。
接触している面をどう安定させるか。
熱が抜けるポイントをどう整えるか。
アルバートンのコットカバーは、断熱材を重ねる発想とは少し違います。
コットの上で体と触れる面を変え、背中側の状態を整えるというイメージです。
この構造が見えてくると、素材の話も少し違った角度から見えてきます。
アルバートンの“赤外線吸収・発熱ボア・難燃”は、どこで効くのか
コットの構造を踏まえたうえで、次に見るべきは素材です。
赤外線吸収、発熱ボア、難燃。
どれも単体で語られがちですが、実際に効いているのはコットのどの位置なのか。
そこがポイントです。
赤外線吸収は密着面でこそ意味を持つ

赤外線吸収素材は、体から放射される熱を受け取り、再び返すという考え方の素材です。
ただし、この働きには条件があります。
まずは、体との距離です。
離れていては効果は出にくく、ある程度密着している面でこそ意味を持ちます。
次に、ズレにくい構造であること。
アルバートンのコットカバーはゴム固定タイプです。四隅を留めることで、寝返りを打っても位置が大きく動きません。
これは見た目の安定だけでなく、密着面を保つという点でも非常に理にかなっています。
最後は、風や隙間の影響です。
コットの下に空間がある以上、そこを空気が通り、体から伝わった熱はすぐに奪われます。
逆に、背中としっかり触れている状態であれば、放射された熱をいったん受け止め、抜けるスピードをゆるやかにすることができます。
ここで見えてくるのは、素材の名前よりも、「どれだけ背中と安定して触れているか」が効き目を左右しているということです。
発熱ボアは“厚み”ではなく“触れる面”の設計

発熱ボアと聞くと、分厚い断熱材を思い浮かべるかもしれませんが少し違います。
コットに横になったとき、最初に感じるのは温度そのものより“触れ心地”だと思います。
冷えた生地に背中が触れたときの、あのひやっとした感覚。
ボアは、その出だしをやわらげるイメージです。
繊維の間に含まれた空気が、直接的な冷たさを伝えにくくする。
一気に温めるというより、体温がなじむまでを穏やかにする素材です。
アルバートンのコットカバーでは、このボアが背中側ほぼ全面に使われています。
一部だけを温めるのではなく、肩から腰まで同じ素材で受け止める設計です。
難燃仕様が支える冬の使用環境

冬のキャンプでは、寝床のまわりに火の気が残ります。
焚き火のそばで過ごし、そのままコットで横になる。そんな流れも珍しくありません。
アルバートンのコットカバーには難燃仕様が採用されています。
これは燃えないという意味ではなく、火が触れたときに燃え広がりにくい性質を持つということです。
火の粉は思っているより遠くまで飛びます。
就寝前後の動きの中で、寝具が火の近くを通る場面もあるでしょう。
アルバートンのコットカバーは、暖かさだけでなく、そうした使用環境まで含めて設計されています。
背中側の熱を逃がさないだけでなく、冬の動線に沿った仕様になっている。
そこに、このカバーの性格が表れていると思います。
アルバートンのコットカバーを道具として使う
アルバートンのコットカバーを手に取ったとき、最初に考えるのは「暖かいかどうか」かもしれません。
けれど実際に差が出るのは、設営のしやすさや、夜中の落ち着きといった部分です。
数字には出にくいところですが、道具としてはそこが効いてきます。
ゴム固定タイプがもたらす設営の安定

アルバートンのコットカバーは、四隅をゴムで固定するシンプルな構造です。
特別な仕組みではありませんが、この“単純さ”が使い心地を大きく左右します。
コットにかけて、四隅を留めるだけ。
設営に時間がかからないことは、寒い季節ほど大きな意味を持ちます。
手袋をしたままでも扱いやすいのは、地味ですが大切なポイントです。
こういった地味なポイントがあることによって、夜中にズレを直す回数も減り、それだけで睡眠は安定します。
コットとカバーが一体になっている感覚。
外付けの防寒具というより、コットの一部として使う。その使い方が、このカバーには合っています。
サイズはS/Lより、コットの張り方を見る

サイズ表記を見る前に、まず自分のコットの張り具合を確認したほうが分かりやすいかもしれません。
同じ77×190cm系でも、フレームの構造や張りの強さで体感は変わってきます。
ピンッと強く張ると支えは安定しますが、接触点ははっきりします。
少し余裕があると、体の当たり方はやわらぎます。
アルバートンのコットカバーは、断熱材を追加するというものではありません。
寝袋やマットとの組み合わせも含めて、どう重ねるか。そこまで含めて考えると、このカバーの使いどころが分かってくるはずです。
アルバートンの生地の背景や、他モデルとの違いについては、別の記事で詳しく解説しています。
興味があればそちらもあわせて読んでみてください。

